Global Summit of Women2016 分科会レポート「崖っぷちから乗り越える」
2016年6月13日
Global Summit of Women2016 ポーランド大会に参加して(昨日の記事はこちら)、特に印象に残った分科会のレポートを綴ろうと思います。
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分科会レポート:
崖っぷちから乗り越える~ビジネス経験から学べること~
登壇者:
Ania Kruk (ジュエリーデザイナー、ジュエリーショップ経営)ポーランド
Lynette Mayne (リネン、ユニフォーム繊維業経営)オーストラリア
Luz Mari Jaramillo (建設業経営)コロンビア
Elizabeth Trallero (プラスティック製造業経営)スペイン
今回のテーマは、「崖っぷちからの乗り越え方」。
女性起業家4名が集まり、それぞれの起業ヒストリー、失敗から学んだことや、そこから得たフィロソフィーまでを、惜しみなく語ってくれた。
例えば、ポーランドでジュエリーをデザインし、店舗を営むKruk氏は「誰とパートナーを組むか」に腐心した。200年も続く老舗ブランドを、いかにして社会変化とともに革新させ、スタイリッシュなブランドANIA KRUKに育てあげたか。
新しいブランドの立ち上げは、ゼロからのスタートであり、当然ながら新しい予算が必要だ。それでも「厳しい経験を積み続けることが何よりも自分自身を進化させている」と明るい笑顔で締めくくった。
次に、オーストラリアで作業着の製造販売を手掛けるLynette Mayne氏は、「資本を30%しか持てなかったことが一番の失敗だった」と悔やむ。ビジネスパートナーを正しく選ぶことができなかったことを反省しており、だからこそ「誰とやるか」には慎重になってほしい、と何度も強く主張した。
「私は失敗だらけ。だから、良いケーススタディになるはずよ」。今でこそ大成功をおさめた同氏は、セッションの最後に「ついこの間、会社を売ったばかりなの。だから、私はフリーよ!ヘッドハンティングしてちょうだい!」と、ジョーク交じりに言って会場を沸かせた。
3番目は、コロンビアで建設業を展開する、Luz Mari Jaramillo氏。
同氏の最大の危機は「コロンビアで起こった緊急危機」と、「社長であった、夫の深刻な病気」である。不動産等を売却し、一時的には危機を逃れたが、夫は帰らぬ人となってしまった。
周辺では「リーダーが亡くなったにも関わらず会社存続なんてありえない」という声が聞かれる中、銀行、顧客、サプライヤーを必死に回って交渉し、何とか存続の危機を免れた。今や多くの雇用を生み出し、国からも多数の表彰を受け、コロンビアを代表する企業に成長した。
女性の強さを証明するようなアントレプレナーシップだ。
最後には、スペインでプラスティック製造を営むElizabeth Trallero氏。
35年の事業経験、失敗から学んだフィロソフィーを余すところなく披露してくれた。「人生はジョーク、ビジネスはゲーム」とあけすけに豪語する同氏の哲学を一部紹介すると、
・コントロールができない環境(経済、政治、法律、社会的な変化、技術)の中で、いかに自分自身を生き抜くかを考えよう。
・失敗には万歳をしよう。ヨーロッパでは「失敗は悪」と言われるが、それも人生の一部である。
・才能は年齢に関係ない。すべてにYESと言おう。
・決して、決して諦めるな!
など、数多くの独自の哲学を、堂々と情熱的に披露する姿に、会場の拍手はやまなかった。
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ここでのセッションは机上の「理論」よりも、それぞれが現場で体験した「生」の話だったので、躍動感に満ちていた。「経験に勝るものはない」。それを証明するかのような、迫力あるプレゼンテーションの内容を、一人ひとりが自分自身に投影したのではないだろうか。経営は、常に「日なた」だけではない。海千山千、たくさんの経験をすべて学びに昇華させて、それが次につながるエネルギーになることを、4名の起業家が証明してくれた。