「管理職の候補になる女性がいない」という会社の何が問題なのか?~2つの説を考える~
2026年7月17日

「女性管理職を増やしたいとは思っているが、当社には候補となる女性がいない」。
各企業での女性の昇進や、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)に関わっていると、こんな発言をよく耳にします。
そしてこの発言が出た瞬間、その場は沈黙に包まれます。
それ以上、議論が前に進まなくなってしまうからです。
女性の昇進を後押しするためには、将来の管理職候補を各階層において育成・登用する、いわゆる「パイプラインの構築」とともに、企業風土など様々なアプローチで改革していくことが求められます。
それにしてもなぜ「増やしたいとは思っている」のに「候補になる女性がいない」ということが起きてしまうのでしょうか。要因をどう考えるかによって、解決策も違ってくると思われます。
一つの考え方が、「パイプライン不足説」です。そもそも従業員に女性が少ないうえ、過去に女性を積極的に登用してこなかったため、いまも管理職候補である主任・係長クラスに女性が少ない状況に陥っています。これは「会社がやるべきことに取り組んでこなかったことに要因がある」と言えますから、解決策として採用や育成の推進が挙げられます。この場合は比較的、課題が目に見えやすく、解決にも取り組みやすいと思います。
一方で、もうひとつの考え方が「バイアス説」です。 目に見える仕組みではなく、女性を昇進に選抜する側の「意識」に原因がある、とする考え方です。この考え方を巡っては、主に海外で実証研究が行われています。「評価者である上司が持つバイアスによって女性部下の昇進が阻害される」というエビデンスが一定数存在しているのです。口では「女性幹部を増やすべき」と言いながらも、実際のところは、女性の昇進候補者に対する評価や昇進選抜のプロセスに「無意識の偏見」が存在しているというワケです。この考え方に立つと、採用や育成のあり方を変えるというよりも、評価や昇進選抜のやり方の見直しが必要になってきます。
ただし残念ながら、今の日本の企業では、これらの片方だけが起きているというより、両方が同時に起き、複雑に絡み合っていることが非常に多いように思われます。
解決策を講じても、効果が出るまでには長い年月を要しそうです。
それでもあきらめてしまっては、冒頭の「候補となる女性がいない」という発言で議論を終わらせてしまうことと何ら変わりがありませんので、継続的に手を打ち続けてこそ、未来は拓けるものと信じます。 そのためのエビデンスとして、私も自分の研究に励んで社会に還元できるよう精進します。
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