専門家から見た「日本人の幸福感」~Omoiyari(思いやり)からWabi sabi(わびさび)まで~
2025年7月4日
私が心理学を領域として研究していることから「Psychology Today」という情報サイトにアクセスすることがたまにある。
Psychology Today とは、アメリカ発の、心理学に関するWEBメディア。その領域の専門家(博士)が、健康、幸福、自己成長などに関する最新の研究知見などを、コラムや記事として発信している。
元々は、私が現在所属する大学院の博士課程に入学する際の受験対策(研究者は英語論文を大量に読むため、英文読解力は必須)として、このサイトにアクセスするようになったのがきっかけだった。しかしその後も、仕事上で海外の知見を収集したいときなどに、アクセスしている身近な存在だ。
その中に「日本人の幸福」について書かれた面白い記事があったので紹介したい。Pogosyan 博士による、「Japanese Wisdom for a Good Life」と題されたものだ。
https://www.psychologytoday.com/ca/blog/between-cultures/202504/japanese-
wisdom-for-a-good-life/amp
「日本人がどのようなことに幸せを実感するのか?」について、巨大な自然災害に見舞われた歴史的な背景などにも触れながら、以下のように要約している。
- ・日本の幸福は「他者とのつながり」に深く根ざしている。
- ・日常の小さなことに感謝する。これは日本人の特徴である。
- ・わびさびは、不完全の中の美しさ、静かな喜びを教えてくれる。
本記事では、「Omoiyari(思いやり)」などの和製英語も使いながら、日本ならではの幸福感が紹介されていた。また「Wabi-sabi(わびさび)については「不完全さの中にある美しさを教えてくれる」ものとして書かれている。
また、個人の実現意欲が重視されてきた欧米の考え方に対して、日本人が「利他のこころ」を大切にしてきたことを指摘しており、日本人である私にとっても、しっくりくる内容だった。
あわただしい毎日の中、自分自身が忙しさに追われてしまうと「日常の小さなこと」を見逃してしまうことは多い。
また、身近な人が悩んでいるのに、そこに目を向ける余裕がない時もあると思う。自分にとっては幸せとは何なのか、どんな価値観を大切にすることで、思いやりある行動ができるのか。一つの答えは、実は身近にあるのではないかということを、今回の記事で、改めて考えさせられる機会となった。
ちなみに、英語のサイトであっても、いまは生成AIを活用すれば、瞬時に要約まで出てくる時代(英語トレーニングにはならないが)。興味のある方には、Psychology Todayにアクセスしてみることをおすすめしたい。
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