米フェイスブックCOOシェリル・サンドバーグ氏の講演を拝聴しました
2013年7月3日
昨夜は待ちに待っていた日経新聞社さん主催の講演会だった。というのも、このTEDを聴いて以来、すっかりファンになってしまったシェリル・サンドバーグ氏が来日するというからだ。
生ライブならではの迫力と説得感に会場は全神経を集中させながら氏の話に聴き入る。主に、3つのことを示唆してくれた。
1.男女こうあるべきだ、というステレオタイプな思考を辞める
サンドバーグ氏の話によれば、成功した要因は?と男性に聞くと「俺が凄いから」という。しかし女性に聞くと「周囲の助けがあったから。運がよかったから」という。
また、転職活動のときには男性はクライテリアに少しでも合っていると応募するが、女性は完璧なクライテリアでないと応募しないという。
つまり、米国でも女性が成功すると「Too aggressive」「bossy」(ちょっとやりすぎ、女のくせにエラそう)と言われがちだとも触れた。だからこそ、そのような固定概念を捨て去り、多様性を認める受容性が不可欠だと。
2.女性も働きやすいように企業側のポリシーを変えていく
日本での男女賃金格差は29%、韓国では39%あるという。同氏は自身が出産後に周囲に悟られないようわざとジャケットを会社に置いてきた経験をユーモアたっぷり話ながら、圧倒的な長時間労働である日本の環境について疑問を投げかけた。
今は、育児や家庭の時間を大切にするためにも毎日5時半には帰社しているという。また、女性と二人きりになると64%の男性がナーバスになるというデータから、男性が女性と働くことを居心地よいものにする努力も(その反対も)必要だと述べた。
3.家庭において家事分担する比率のバランスをよくする
日本の女性が家事・育児に費やす時間はなんと男性の5倍だという。ちなみに本日私が書いた 東洋経済オンラインのコラム では、「共働き夫婦のうち、“女性のほうが男性より睡眠時間が短いのは日本だけ”だった」と書いてみたが、女性の負荷が世界的にみても多いことは女性活躍にブレーキをかけているのも事実のようだ。
だからこそ、Lean in (一歩前へ)は必要である、と。
We can change it today、とサンドバーグ氏は続く。
What would you do if you weren’t afraid?”
なぜ、世間はここまでサンドバーグ氏に注目するのだろうか?フェイスブックのCOOであるという短絡的な理由だけでは片付かない。それよりも、「誰かが言わなくてはならないこと」をここまで真剣に時には執拗に、社会と闘い続けるその勇姿に、これからの変革を切望する我が国が希望を折り重ねているからではないか。
続いて、DeNA創業者の南場智子氏の講演。
南場さんのお話も、笑いを誘うエピソード、そしてチームメンバーを思いやる愛情たっぷりであった。中でも「大切な子どもがいるのに会社に来てくれてありがとう」「女性活躍のために数値目標は反対だが、チームは多様であればあるほど良い」など印象的な言葉を残し、
中でも私が惚れ込んだ言葉がこれであった。
「迷惑をかけたくないと願いながら出産に入る女性は多いが、それは次世代に貢献していることでとても大切なことだ。職場に迷惑をかけるとその時は悔やんでも、のちの人生でバランスをとる。その時恩返しができなくとも、後で違う誰かにすればよい。それが、社会である。」
うう、母親泣かせである…。ぐぐっと感情移入してしまったのは言うまでもない。
パネリストにはキャシー・松井氏や川本裕子氏の豪華キャストもジョインして会場を沸かせた。
私が先月初めに訪れたグローバルサミットでも、しきりに世界の女性リーダーたちはLEAN IN!と励まし続けてくれた。今回の講演会は女性リーダーたちと一緒に拝聴したが誰もが感銘と自ら沸き起こる前のめりのマインドセットを感じたはずだ。
サンドバーグ氏の同時通訳を見事に務めていたのは、友人の関谷英里子さんであった。今度英里ちゃんからサンドバーグ氏来日の舞台裏を聴けるのでこれもまた楽しみである。
このような場に参加できる機会を提供いただきました、すべての関係者の皆様には深く御礼申し上げます。