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映画『悼む人』観てきました

2015年3月1日

小説ではmy favoriteの3本指に入る、『悼む人』。家族のシリアスな問題に挑む小説家・天童荒太さんによる140回目の直木賞を受賞した名作を、映画化したものです。
大好きすぎるこの小説、映画館で観ない訳にはいきません。

▶ 映画『悼む人』公式ページ
生と死、そして愛と家族。
答えのない難しすぎる問題提議に挑む内容だったからこそ意味深く、感想も賛否分かれる内容となっています。
私個人的には☆5つ+くらい感情移入できました。それを自分なりに分析すると、下記の理由だったからかと。つまり、同じようにこの項目が当てはまる方であれば心に深く刻まれる映画になることだろうと推測します。
・原作の小説「悼む人」を読み返し感動した
・愛する人を亡くした喪失感を体験したことがある
・今までの人生において深い傷を負った等の経験がある
・生死観、愛や家族に対して自分なりに考えたことがある
なので、この映画を観るのであれば原作を事前に読破することをお勧めします。そうでないと、「悼む」行為そのものが摩訶不思議に写り、理解し難い物語になってしまうのかと。
決して明るい映画ではないし、観終わった後に活力が出る類のものでもありません。しかしながら、この名作に込められた一番のメッセージ「亡くなった人が、誰を愛し、誰に愛され、どんなことをして人に感謝されたのか」という魂の叫びは救いにもなり、穏やかな生死観を形成してくれる礎になるのかと。高良健吾さんや石田ゆり子さんの白熱演技も十分すぎるほど適役でした。
社会では不条理な事故や事件が毎日のようにニュースに取り上げられ、その惨事に私たちは目を覆いたくなるくらいの絶望を感じ、言葉も失います。胸も張り裂けそうになる程です。
このようなとき、静人(主人公)ならどんな「悼み」をするのでしょうか。そんな思いがふと脳裏を駆け抜けました。
阪神大震災やアメリカ同時多発テロで無力感を覚えた原作者である天童さん。そこから小説「悼む人」が誕生したとか。物語完成に向けて、実際に各地で亡くなった人を3年かけて回り日記を残したそうです。ちなみにその記録に通じる『静人日記』はあまりにも胸が痛みすぎて、私は途中で読むのを封印してしまいました。
ともかくも、重くて深刻なテーマ、人間の根源的な営みに真っ向から勝負した内容だからこそ、思いもぐるぐる回ります。感情移入できた私にとっては『永遠のゼロ』以来の超号泣の名作映画でした。
▶ 悼む人 特設ページ(本)
※以上は映画に対する個人的な感想となりますのでご了承ください

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