長時間労働の是正、営業生産性の向上が重視される時代には、「営業のカリスマ」は不要?
2016年2月6日
昨年27年にリリースされた「日本再興戦略 改訂2015」はまだ記憶に新しいところです。本文では「生産性革命」を標榜し、長時間労働の是正と働き方改革が明確に打ち出されていました。
私も携わらせていただいている、国家の重要イベントWAW!においても、2015年の公式成果ペーパーには、「長時間労働という働き方を変える」 が一番最初に掲げられていました。(こちら)
長時間労働と密接に関係する女性活躍においても4月より施行される女性活躍推進法(通称:女活法)や1億総活躍の賑わいもあり、もう待ったなしの状態です。
長時間労働の是正。営業現場に当てはめるとどうなるのでしょうか?
長時間労働規制の法制化については、経済団体から強い反対が沸き起こっているように、短絡的な時間カットだけでは業績に響きます。
だからこそ、本著「思考する営業 BCG流営業戦略」に書かれている、科学的な営業アプローチや抜本的な働き方革命、持続的な営業生産性の向上に焦点を当てるべき時代がやってきました。
「思考する営業 BCG流営業戦略」 杉田浩章著
営業女子たちはなぜ辞めてしまうのか?
(日々私から発信させて頂いていることですが、大きな要因のひとつとして)仕事自体が属人性高く、残業の巣でありがちな営業現場に辟易し、これなら長く仕事を続けられると幻想されている内勤職への移動希望が膨らみ、最悪離職が発生します。お客様が好き、営業そのものは好き、というにも関わらず。けれども、本著で説かれているような仕組み「営業TQM」が現場で導かれれば、長期に働けるイメージが女性側にも抱けられるようになり、男性も管理職も働きやすい環境になると思います。
本著はずっと書店で気になっていたのですが機会がなく、けれど最近知人の推薦もあり一気に読破してしまいました。
2009年の本なので、外部環境の変化や移り気が早い営業現場では古いかな、と錯覚しそうですが、全くの杞憂に終わります。さすが、世界のボスコン様です。
マーキングした箇所を一部紹介します。本文より抜粋
日本の営業組織は総じて、個人の創意工夫を重視し、「型」にはめることを嫌がる傾向がある。どのような営業行動をとるべきかは各人の発想にゆだねられ、どんな大きな受注をしたか、どれだけの売上を上げたかという結果ばかりが重視される。そこに神話が生まれ、カリスマがもてはやされる土壌ができていく。(本著より)
カリスマを決して否定はしません。けれど、「営業の神様」だけでは営業の標準化が未来永劫創られず、時短に繋がりませんよね。
過去の日本企業の成功を支えてきた営業組織には大きく三つの特徴がある。①営業生産性よりも売上第一主義であったこと、②組織戦よりも個人戦であったこと、③プロセスよりも結果重視のマネジメントが行われてきたこと、である。(本著より)
特に、②はごもっともだと思います。個人向け営業では組織戦を実現するのは難しいかもしれませんが、一方で属人化ばかりが進行すると「産休育休なんて、まず無理」という営業女子は多くいます。
市場が成熟し、競争が激化する今日、一握りの優秀な営業担当者に頼っていては、高い営業生産性を維持することはできない。全員が一定の能力を均質的に発揮する営業組織を持つことが、勝ち残る企業の必要条件となる。(本著より)
本著にもあったのですが、「行動管理」(売ってこい、ではなく、顧客に〇件会って来い)を高める。一つ一つの商談の質を現場の科学的データを元に上げることで、生産性の向上を管理する手法は、この時代必須かと。例にあったユニチャームペットケアの改革は昔テレビで観たことがありましたが、私が営業担当なら面白いだろうな、と記憶しています。
また、組織の改革を様々なカタチで妨害するチェンジモンスターとその撃退法が面白かったです。
久々の営業改革系の本を読みましたが、いま関わっているプロジェクトにも応用できそうで楽しみです。
「思考する営業 BCG流営業戦略」 杉田浩章著