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モンブラン4810m登山記(後編)

2017年8月22日

モンブランへの登頂記録、後編です。(前編はこちら
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小屋に到着した夜は嵐。
私の海外登山は、過去2回連続で、高山病と悪天候を理由に撤退を余儀なくされていたので「やっぱり今回もダメなのか……」と絶望感に襲われました。
実際に、この日の前日、そして当日早朝出発したパーティは、すべて計画を断念して撤退、下山していたのです。
私たちの現地ガイドも、この日は1時間おきに夜中起床して、天候チェックをしてくれました。
その結果……なんと朝9時に「今から出発する。急いで支度して!」。ゴーサインが出たのです!窓の外を見ると、嵐は過ぎ去り、雲の間から太陽が顔をのぞかせていました。
そこからは、最高の経験でした!
ヨーロッパアルプスの美しすぎる絶景、見たこともない白い巨大な氷河。底なしのクレバスを幾度となく飛び越えて進みました。歌を歌いたくなるような雄大な大自然に囲まれて、とてもとても、楽しい登山でした。風が吹くと、体感温度は-20度くらいなのですが、風がおさまるとポカポカ陽気。モンブランは「白い山」と言われる通り、辺りは真っ白な異次元の空間です。
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そして……体調も絶好調のうちに、山頂へ!
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あまりの感動に、言葉が出ませんでした。過去2回連続の撤退で、忸怩たる思いは私のトラウマになっていましたが、それを見事に断ち切ることができた瞬間でした。山頂へ足を踏み入れると、涙がこみ上げてきました。そして、一緒にいたフランス人ガイドと一緒に登頂できた仲間と抱き合いながら登頂を歓びました。
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実はこの辺りで、写真をもっと取りたかったのですが、ガイドから「危険ゾーンだ」と、撮影許可がおりなかったのです。なので、この絶景を忘れまいと、目に焼き付けました。
高所に弱い私。登りは体調もペースも絶好調でしたが、下り4300m付近でまさかの高山病が。すごくすごく気持ち悪くなり、歩を進めるのさえも困難になり、何度も休憩をしながら下山しました。高山病とは不思議なもので、3800m付近になると、ウソのよう元気に回復できました。
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下山後は、一緒に登頂した仲間たちと何度も祝杯を挙げて宴を楽しみました。高所にいって、肌はボロボロ、パンツがブカブカになるほど痩せたのに、下山後のシャモニーの食事は美味しすぎて、見事に肥えての帰国です(笑)。
シャモニーの街はおとぎ話に出てくるようなかわいらしさ。街からモンブランをはじめとした、世界の名峰を見上げられるのもまた魅力です。のーんびり、どんなに長い間いても飽きません。シャモニーの最終日は、一緒に行った仲間と、フランスミシュラン二つ星のレストラン「アルベールプルミエ」でフランス料理のフルコースまで堪能してきました。ほっぺたが落ちるほどの美味でした。
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ヒマラヤと単純に比較することはできませんが、今回の登山の感想を一言でいうと「楽しい!」。
アルピニズムの本場で、登山のスケールも違います。そして、とにかく現地の登山家たちが本当にかっこよかったです。街に下山しても、食事も滞在も明るい雰囲気で、とても楽しかったです。
P8181266_s_sP8181259_s_s下山後は、モンブランを一望できるラックブランという湖へハイキング。死ぬまでに行きたい世界の絶景、とはこのこと。
これでやっとスタートラインに立つことができました。次なる山へ向けて、また出発です。

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