メインビジュアル

私が社会人大学院生を目指した理由と、修了した今だから言える3つのこと。

2020年1月24日

※本記事は2020年1月24日当時の、日経xwoman Terraceアンバサダーブログに投稿された内容です。
 日経xwoman Terrace(アンバサダーブログ)のサービス終了(2025年6月末予定)に伴い移転された内容です。

私は「社会人大学院」を志願して受験、昨年、無事に修士号を取得することができた。
ここでは「なぜ社会人大学院に行こうと思ったのか?」「どのように受験勉強し、入学したのか?」という「入学までの過程」について、質問を頂くことが圧倒的に多いので、そこにフォーカスして書いてみようと思う。

今から約4年前。
仕事には何の不満もなく、むしろ恵まれた環境を有り難く感じる一方「行き詰まり」のようなものを強く感じていた。
アップデートしない自分は、このままでは破滅する。そんな強い焦燥感もあった。

そんな時、心に浮かんだのが「もう一度学校で学びなおす」という選択肢だった。
実は以前から「いつかは大学院に行き、興味がある分野についてじっくり研究してみたい」という思いがあったものの、仕事や子育ての関係で動き出せずにいた。
ちょうどその頃、常勤だった会社の役員を退任し、自営業的な働き方が可能になり、息子も大学生となって手がかからなくなったタイミングでもあった。

「大学院に行こう」。
そう決めたものの、一体何を研究し、どの大学に行くのか? が分からない。
そこで私は一体何に関心があるのか? を紐解いてみた。
関わってきたのは、キャリア開発や人材開発の仕事。キャリアコンサルタントの資格もある。そのなかで常に考えてきたのは
「どうすれば人はモチベーションが高まるんだろうか?」
「どうしたら人の心は変われるのだろうか?」
という問いかけだった。さらに、女性営業コミュニティ主宰者でもあったので
「どうすれば女性営業職はイキイキ働けるのだろう?」
という大きなテーマも、いつも心の中にあった。

つまり私の関心は、いつも「人のココロ」にあった。
「それなら心理学の切り口で考えてみようか?」と考えはじめた時、あるキャリア開発の講師の方から「筑波大学院にはO先生という方がいるよ」と教えてもらった。
産業組織心理学やキャリア心理学を専門とするその先生の研究書籍を熟読してみると「私がやりたい研究の方向性は、この先生ならご指導してくださるかも!」。
そこで筑波大学大学院のカウンセリングコースを選び、受験校もこの1つに絞った。

ターゲットが定まり、私は合格のための必要な情報収集と、受験勉強を進めた。
大学が法学部だったので、心理学は完全に初心者。
オープンキャンパスに足を運び、平日は夜の4時間くらい、週末は土日それぞれ10時間以上勉強机に向かい勉強した。
大学院入試のための受験予備校というものもあるらしいが、先輩たちに相談しながら、私は独学で進めた。
集中しすぎて、受験直前に急性腰痛を発症。
しかも入試には、研究計画も出す必要があり、参考書や論文を参考にして何とか書き上げた(今から思えばかなりお粗末なものだったが…)。

そして受験日。
試験は想像以上に難しく、回答を白紙のまま出した部分もあり、心の底から落ち込んだ。うちの大学院はそれなりに倍率が高く、一度目の挑戦で受かることは少ないとも聞かされていた。だから一次試験(筆記)の合格発表の日、自分の受験番号を見つけ、2次の面接試験に進めたときは飛び上がって喜んだ。
最終合格発表の10月、合格通知を手にしたときは、思わず泣いた。

そして4月から、社会人大学院生活がスタートした。
学業と仕事との両立は並大抵ではなく、その日から私のプライベートは激減。地方出張を減らし、多くの仕事をお断りせざるを得なかった。
夜の会食もなし。人付き合いは悪くなった。
趣味の登山も、仲間たちがワイワイ北アルプスに行くのを、涙をのんで見送った。
一方で、本当に多くの方々に支援していただいた。

我慢の連続だったが、私は今、社会人大学に通った2年間が「人生を変えた」とハッキリ言うことができる。大変な思いを補って余りある、巨大な収穫を手に入れることができたからだ。
社会人として日々感じる課題を研究テーマに掲げ、実証していくことに没頭した。私にとって心理統計(分析)は初めて接する分野だったが「人のココロを科学する」研究に目覚め、今も研究を続けさせて頂けることは、一生の財産だ。

以上を踏まえて、社会人大学院に興味がある方のためにまとめると
① 学び直しの一つの選択として、社会人大学院はアリ。「自分は何を研究したいか?」「どんなアプローチで研究したいのか?」で、受験する大学、分野が決まる。私の場合は心理学系だったが、経営学(MBA)などを選択する人も多い。
② 大学院によって、必要な受験勉強はさまざま。その大学院の入試傾向や受験状況を調べ上げて、対策をするべし。
③ 大学院生活は非常に濃密で、人生が変わる。仕事の幅が思い切り広がるし、知識やスキルを習得でき、論理的な文章力も高まった(はず)。

主観が入っている内容ではあるが、一つの参考になれれば嬉しいです。

修了式にて。切磋琢磨する社会人の仲間が見つかるのも、大学院での貴重な宝。

※本記事は2020年1月24日当時の、日経xwoman Terraceアンバサダーブログに投稿された内容です。
 日経xwoman Terrace(アンバサダーブログ)のサービス終了(2025年6月末予定)に伴い移転された内容です。

戻る