ヒマラヤ登山日記3

ヒマラヤ日記、その2からのつづき。

2017.03.12

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藁をもつかむ思いでダイアモックスを飲んで寝たら、昨日の気分の悪さが嘘のように快調、完全回復です。カナダ人医師との出会いに感謝、感謝! 本当に有難う! 昨日の時点では、ダイアモックスなんて飲みたくない、こんな早い時点で私もリタイアか……と、頭が真っ白になっていました。さらに、それすら考えられないほど、高山病はとにかく苦しくなっていったのです。しかも高山病への対策は、下山すること以外、ないのです。

ロッジでは、あの寒くて不衛生だった部屋も変えてもらい、極めて快適になりました。遠征では、文明社会の常識なんてまるっきり通じないので、ある意味、生命力が無駄に強くなるかもしれません(笑)。
食欲も回復し、先ずは持参したフリーズドライの日本食から始めます。日本食を持ってきて良かった‼そして、大雪のため、ここに停滞すること2日間。悪天候のせいでここPanbocheには2日滞在しましたが、このことがむしろ高所順応に功を奏したのです。(高所順応はそこに滞在すればするほど効果的なのです)

今朝は雲がいくつか空を覆っているものの、アマダムラム山、カンテガ山を一望でき、美し過ぎる絶景に息を呑みます。道中、ローツェとエベレストを眺望しながらのトレッキング、なんて贅沢なのでしょうか。

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ただ、歩を再び進めて2時間くらいすると急激に寒くなり、雪がパラ付き始めました。目出し帽にオーバーグローブなど寒さ対策はやってもやってもキリがないほどです。この時期のヒマラヤでは、日差しが強くなるとポカポカ温かいのですが、雲に覆われ始めると、嘘のように冷え込みます。
そして、ゆっくり歩を進めると、4400m、Dingbocheに到着! 第二の高所順応の場でもあり、出だしは快調です。時折、後頭部にズシリと重い頭痛を感じると、ここは高所であることを思い出します。ダイアモックスには賛否ありますが、痛みがかなり軽減されたので奏功しました。私の気持ちは、歩を進めるごとに高まっていきました。ああ、ピークに絶対に行きたい! ヒマラヤの大景観にあの頂きから触れたい! (今から思えば、自分ではリラックスしているつもりでも、始終心がはやり、極度の緊張が続いていたのでしょうね)

2017.03.13

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本日のヒマラヤは大晴天! 高所順応のため、Dingbocheのロッジの裏の丘へ登ると、あの目的地である、愛しのアイランドピークが見えるではありませんか! もう、息を呑む大絶景とはこのこと。シェルパのサンタマンいわく「この日はパーフェクトな天気」。暖かく風もない青空が広がり、左にはローチェ、ど真ん中にはアイランドピークが堂々と三角形の山容を見せつけています。まさに、島の孤島と名づけられた通り、名峰であることを堂々と主張するようです。

飜るタルチョ(ネパールのカラフルな旗)の奥には、ユーラシア大陸とインド大陸が太古にぶつかり合い押し上げた、大自然が引き起こした神秘過ぎる地球のヒダが続いている。
ああ、あそこに登りたい。必ずや登りたい! エネルギーを登頂にすべて集中して、あの頂きに立ちたい!
そうはいっても、やはりここは高所。たまに後頭部の後ろにズシリと重いものを感じ嫌な気分になるのですが、体調はすこぶる快調でした。

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2017.03.14

さらに標高をあげて、ついにChhukhung(チュクン)到着! 4700mですよ! 真正面には、見たこともない氷河がドーン!
裏にはあのローチェがドーン!
なんて、贅沢なんでしょう。
アイランドピークを愛でながら、コーヒーをいただく幸せ。地球の果てまで来てしまった興奮。
ダイアモックスのおかげで、体調も順応している気がして、気持ちは昂ります。
数日前の高山病からの回復が自信になり、サミットプッシュ(登頂日)への緊張感を楽しんでいました。

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しかしその晩、事態は変わり、大きな決断を余儀なくされました。

天気が明後日以降崩れるというのです。その日はサミットプッシュの予定日。つまり、選択は二つ。明日、高所順応しないままにベースキャンプへ向かい、サミットプッシュするか。しかし、これは高所に弱い私にとって危険も意味します。高山病の怖さは十二分に経験したし。

二つ目の選択肢は、天気回復まで待機するか。しかし、天気回復しても大雪の後は固定ロープが埋もれているため修復にさらなる時間がかかり、一週間ほどの待機を要してしまうのです。これはつまり、私の帰国予定日に間に合わないということ。これでは、月末の大切な株主総会出席に影響が及びます。

一緒に泊まっていたドイツ人は明日、ベースキャンプへ発つといいます。私には、前者しか選択肢はありませんでした。

2017.03.15

休む暇もなく、そのままベースキャンプへ。5100m標高上がり、当然息も上がります。ここまでくれば、楽しい遠征というよりも、サミットプッシュに向けた緊張のほうが大きくなってきました。雰囲気も、どこか重々しい感じです。
疲れをとり、本来であればここからが本番であります。

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しかし、突然の意思決定、ベースキャンプに到着しても、その日の深夜からピークを目指す緊張で、寝るに寝付けません。疲れも当然とれていないし、高所順応不足なのも感じます。
ダイアモックスはカナダ人医師からもらったものは切れたので、現地ポーターが調達してくれたものを飲んでみました。効果あるのかは不明だが、出発間近に頭痛がしたので、バファリンを一粒併用。頼むから、効いてくれ!

そして日付が変わった深夜1時過ぎ。ついにサミットプッシュに向けて出発しました。5000mの地点では、高所用のアルパインブーツを装着するのですが、高所ではこの靴を履くだけでも一苦労で(力も出ないし、足もむくんでいる)、結局一人では履けず、サンタマンに力づくで手伝ってもらいました。

その4に続く)

 

カテゴリー:登山のこと